hiden voice


2011/2/1「みんなに伝えたいこと」

こんばんは。
心配してくれてメールをくれた皆様、ありがとうございました。
まぁ、そんなに心配しないでください。
順調に快方に向かっているかと思いますが、完治までは少々時間がかかりそうです。
怪我と向き合い、しっかりと治したいと思います。

さて、トップシーズンなのに滑れないとなると、ちょっとストレス溜まりますね。
自分が出る予定だった大会のリザルトをネット上で見ては、イメージしています。
大会雰囲気を・・・(笑)
やっぱり滑りたいですね、スノーボード。
大好きなんですね、きっと。
そして、滑れないから今思うことを少しだけ。

ここ数年で、アルパインの世界は大きく変わってきたかと思います。
数年前から、アルパイン人口を増やそうと、人口を増やすための活動が活発になってきました。
その反面、アルパインはどんどんマニアックになり、入口が狭くなったとも思います。
こう思うのは僕だけでしょうか?

どういうことかというと、各メーカーは販売数の減少を食い止めるため、協会は大会参加人数を維持するため、
様々なイベントや方法でアルパインを告知し、新規のユーザーを獲得しようと必死です。
しかし、年々マテリアルは変化し、価格も跳ね上がり、簡単に手に出来なくなりました。
売れないから利益を上げるために高くする、ある意味での悪循環もあるかと思います。
それにプラスされて、最近では必ず「+プレート」が必須となりつつあります。
僕自身もレースでは100分の1秒が欲しいから、プレートを使用する一人ですが、
そのプレートも年々変化し、理解しがたいようなものも、自作で作られていく始末です。
まさしく今、過渡期にあるのかと思いますが、どこかで一線、ルール改正というか、線引きが必要な気さえもします。

これは、今思ったことではなく、数年前から感じていたことです。
自分が怪我をしたからそう見えるのかもしれませんが、僕の周りでも大きな怪我をしている人が絶えません。
なぜだろう?と考えました。
それで、一つだけ分かったことがあります。

マテリアルの変化に、人間がついていけていない現実があるからだと思います。
新しいものが出てきすぎて、人間がついていけないのです。

先日、僕の妻に子供のスケーティングを見てほしいとの相談がありました。
ご存じの方も多いかと思いますが、僕の妻はスピードスケートでオリンピックに2度出場しました。
そして、その妻に相談してくる方も多く、そのほとんどが子供のスケーティングについてです。
スピードスケートも約10年前に、大きな過渡期を迎えていました。
スラップスケートの誕生です。
従来のスケートは、ブレード(刃)が離れることなどないものが当たり前でしたが、
スラップスケートは、今までの常識を覆すものでした。
当時、移行には時間がかかり、多くの選手たちを悩ませたのも事実です。
そして、何といっても価格が高すぎる。簡単に買うことが出来ないのです。
それが、大きく人口の減少につながったかどうかは分かりませんが、今のスケート人口はあまりにも少なすぎます。
そして先日相談を受けた子供のスケーティングは、若いころからスラップスケートを使用していて、
基礎というか、昔の子供たちが当たり前のように通ってきた基本が出来ていないのです。
それでは、当たり前のように伸び悩んでしまいます。
そして、スケートは続けていかなくなります。

だいぶ話がそれました。スケートと比べても意味がないことは承知です。
そもそもスノーボードはレジャーですからね。

ですが、今のアルパインスノーボードの世界は、マテリアルだけが先行しているように思えて、
なんだか一番の基礎というか、大事な部分が見失われているように感じます。
しかし、今のこの業界の流れが悪いとも思いません。

車でもF1があるように、世界最速を目指すならば、それに伴ったマテリアルが必要になるからです。
でも、世界最速を目指すならば、その舞台に立つまでは普通の人が考えられないような過程があります。
そして初めて、F1を運転することが出来るのだと思います。

正直、アルパインスノーボードで、カリカリのアイスバーンで、急斜面が最高に楽しい!
っていう人はなかなかいないと思います。
そしてその状況下で、F1を運転できるのは限られた人間のみだと思います。
僕が一番気持ちいいアルパインスノーボードは、中緩斜面で程よいグリップのするバーンです。
そんなバーンでなら、国産のスポーツカーくらいは運転できるかと思います。

各方面からの反発も覚悟しつつ、柔らかく、分かりづらく、今思うことを書きました。(笑)
みんなに伝えたいことは、もう一度自分を信じてスノーボードをしてほしいということ。
理屈じゃないんだなぁ・・・。
滑ってみれば分かると思うよ、自分の大好きなスロープを。

ひで