hiden voice

2005.6.22「利尻島3」


梅雨とは言っても、あんまり雨が降っていないよね。
雨はそんなに嫌いじゃないから、降るなら降ればいいのになぁ。
時々来る、雷雨は勘弁だ。雷にはあまりいい思い出がないからね・・・

さてさて、利尻島の話もだいぶ延ばしてしまいましたね。
今日はまとめて書き上げたいと思います!

確かに天気は快晴だった。
そして、モービルである程度まで移動できたことはとても大きい。
そして俺たちは、準備をしてゆっくりと登り始めた。
スノーシューというより、アイゼンの方が登りやすそうな雪質だった。
前日、ガイドと相談して決めたルートを登り始め振り返ると、なっなんと!?!
目の前には、海と北海道本土が見えた。
これは何とも贅沢な光景だった。そういえば、今まで登った山の中で、海がこれまで見えるのは初めての体験だな、それくらい光景は凄かったよ。
少し歩いてから、尾根に俺たちは立った。そしてこの尾根を滑るライン目指して進むのだけど、尾根に立ってからは風が強く、そして天気がころころ変わった。今まで見えていた海が全く見えなくなったり、ちょっと油断したら風に負けそうになったり、本当に天気がころころと変わった。
それでも後戻りは出来ない、なんとか滑るライン目指して登った。
結構辛かったな、今だからそう思うけど、その時は必死だったんだよね。
こんな事書いたら怒られるかもしれないけど、晃平がヘトヘトになりながら登っていたのはとても印象的だった。レースではものすごく強い晃平だけど、そんな晃平を見るのが俺にはちょっとだけ嬉しかったよ。

必死に登った俺たちは、目指していたラインの上に到着した。
その時にはかなり強いガスに覆われて、とてもじゃないけど滑れる状態ではなかった。まぁ、いつか抜けてくれると思いながら、おやつを食べてのんきに待っていた。少しずつガスが抜け始め、俺たちは滑る覚悟を決めた。
滑る前は、いつも感じる山の光景と同じ。そして、自分の中にあるアドレナリンもいつも通りだった。滑るラインを確定した俺は、そのポイントまでトラバースしたんだけど、その時感じた感触がいつもと違うものだった。
「これは結構やばいかも・・・」これ俺の心の中の正直な気持ち。
で、覚悟を決めて滑り出したとたん、俺はびびった!!
2ターン目くらいで限界スピードを超えながらこけた。
そして流れに身を任せ滑落した。
いつまでも止まらない、それだけ山は氷っていた。
身を任せたのが良かったのか、特に体に負担を得ることもなくなんとか止まった。その時にウエアが破れていたのは、それだけ滑落した証拠だね。
その後、アルペンで上がっていた晃平も滑落した。
俺は少しだけホッとしたけどね。

それからの俺たちは、ムキになりながら何度も登り返して再度チャレンジした。
だけど、パーフェクトなライディングが出来たかというとそうでもない。
だけど、3本目に滑った晃平のラインは素晴らしかったね、完璧だよ。
遠くから見ていたけど、その時の山の状況を知っているだけに、改めて「川口晃平」の能力を思い知らされるライディングだった。
若さ溢れる攻撃的なライディング、そして完成されつつライディング、そんな感じがした。俺にとってはものすごい影響を受けたライディングだった。
俺も、あの状況の中、よく滑ったと自分で自分に感心している。
今思えば、雪の状態などはどうでも良かったのかもしれない。
あのメンバーで登れたこと、そしてミスしながらも楽しく滑れたこと。
それだけで、今回利尻島まで行った意味があるのかもしれないね。
こうやって俺は、一つずつ大切な財産を殖やしていくのだと感じた。

俺たちは、翌日も登る予定だったけど、天気は崩れ大荒れ。
残りの利尻島での生活を、酒ばっかり飲んで終えた。
それから2日間は、フェリーも飛行機も欠航するほどの大荒れ。
俺は「帰れない」という状況に追い込まれることになった。
でも、それからミラクルは起こった。
飛行機もフェリーも欠航する中、突然朝一の一便だけフェーリーが動いた。
俺たちは飛び起きて準備をして船に飛び乗った。
しかし、このフェリーが生涯初の辛い思いをする船になるとは思わなかった。
乗客は皆船酔いをし、場所かまわずに吐きまくっていた。
俺も気持ち悪かったけど、その光景を見ながらなんとか到着するまで我慢したよ。でも、本当に長く感じた時間だった、二度と味わいたくない!!

こうして俺たちの利尻島へのスノーボードトリップは終わった。
本当に楽しかったし、今までに感じたことがない山のエネルギーをもらって、俺はまた一つ成長できたんだね。

一緒に行った仲間達、利尻でお世話になった現地の方々、そして新しい出会い、
本当にありがとう・・・

利尻島での光景などは、少しずつhiden noteでご紹介しようと思う。
ひで