hiden voice

2005.2.25「もう一歩・・・」


皆さんお元気でしょうか?
だいぶご無沙汰してしまいましたね、hiden mailも。
インドから帰ってきてからは、展示会に参加したり、大会のためのトレーニングをしたり、なんだかんだと忙しく過ごしていて、落ち着く暇もないまま今回のプロ戦(雫石)へと行ってきました。
インドでのスノーボードトリップで体験したことについては、少しずつ書き始めてはみたものの、とてもこの枠の中では書ききれないほどいっぱい話したいことだらけで・・・。何から話せばいいのか分からないんだけど、まずは今回の旅を通じて感じたことを、簡単にお話ししましょう。

インドという国は、今までに行ったどの国よりもエネルギーが溢れていて、そして魅力的で、「生きる」ということについて多くのことを学ばされました。
今までに行った国は、どこに行っても文化は違うものの、「生きる」という事に関してはそんなに大変ではなかったし、そういった意味でも「生きる」ということに関してはそんなに深く考えるようなことはありませんでした。
しかし、今回のインドで体験したことは、間違いなく僕の人生の価値観を変えた。一日一日を真剣に生き抜くことや、自然と共存すること、そして今までの自分には見当たらない「自身の輝きというかかっこよさ」、これが、最も大切なものでした。うまく言葉で表すことが出来ないけど、色々な意味でカルチャーショックだったし、生きていくために大切なことを学べたインドでした。
今回インドに行くきっかけを与えてくれたIST picturesのmollyさん、そして現地で助けあった仲間達、お世話になったニコラ、プレモ、フレドゥ、インド人の方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとう・・・。
インドでの話は、本当に話が尽きません。どんな形で詳しくお伝えできるのがベストなのか、もう少し書きながら考えていきたいと思っています。

さて、今回の本題に行きましょうか・・・。
2月23日、今シーズンのプロツアー第3戦が東北の地、雫石で行われた。
俺は、前々日から現地入りし、大会バーンを滑り込んだ。地形に変化があるコースで、なかなか面白く、そして攻略するのにも難しそうなコースであった。
到着した日から、とにかく雪が降り続いていた。大会当日も天気は大雪で、高速道路が全面通行止めになるほど東北の地は荒れていた。
だけど、そんな天気をも楽しめていた俺がいた。悪天候は嫌いじゃない。
今回の遠征では、当日も前日も、とにかくスノーボードが楽しかった。

今回の種目はパラレルジャイアントスラローム。
自分がプロになってからは初めての種目だし、そんな大会にワクワクしていた。
まずは予選を滑る。同じにセットされたコースが2コース。予選1本目を滑り、各コーストップ16名ずつが2本目に進める。まず予選1本目を4位で2本目へとすすみ、コースを入れ替えて予選2本目を滑る。トータルタイム4位で予選を通過。16名で行われるノックダウン方式の決勝へと進む。
決勝1回戦、予選13位の選手との対戦。確実に勝ち上がったと思い、次のヒート目指して準備をした。そして、決勝2回戦目のスタート前にちょっとしたトラブルに見舞われる。1回戦の勝ち上がりの勝者を巡って、スタートですったもんだがあった。僕は競技者として自分を信じて抗議をした。タイム差も都度把握しているし、勝ち上がるためには色々と考えていないとダメだと思っている。それだけに強い口調で抗議もしたし、引けないところは引けなかった。
何を言っているのか分からない人が多いと思うだろうけど、要は勝ったはずのレースのはずなのに、負けを告げられたことに強く抗議したということ。
どんな状況であのようなことになったかは別問題として、僕は自分の言っている事に関しては正しかったと思っている。ただ、プロ選手として、あのように感情的になってしまったことについては、反省しなくてはいけないと思っている。スタート地点で快く思わなかった方々も居ることでしょう。その点については申し訳なく思っています。結局、勝ち上がれたから良かったけど・・・。

とても興奮してしまった俺は、冷静さを取り戻そうと必死になり、そして決勝2回戦を滑った。相手のミスにも助けられ、セミファイナルへと駒を進めた。
セミファイナルの相手は、宮尾一徳(OGASAKA)。宮尾プロは僕からすると特別な存在。スノーボーダー長岡英明がここまで来られたのも、彼が居てくれたから出来たこと。人としてもスノーボーダーとしても、とても尊敬している人です。そんな宮尾さんと、公式戦で対決するのは初めてのことで、それだけに、特別な思いで、このレースを迎えることとなった。
セミファイナル1本目、宮尾さんにリードを許してゴール。しかし、2本目で十分に逆転が出来るタイム差。2本目はかなり気合いが入った。
自身の中で会心のライディングが出来た。すべてを出し尽くせたという感じだった。俺は正直「勝てた!」とも思った。しかし、コンマ差で及ばず敗退する。
でも、本当に楽しい対戦だったし、ここまで気持ちを奮い立たせてくれた宮尾さんには感謝したい。また、宮尾さんと対戦できる日が今から楽しみだ。

敗戦した俺は、3位4位決定戦を戦うことになった。しかし、すべての気持ちは途切れてしまっていて、1本目も2本目も転倒するという、何とも最悪なレースをしてしまい、最終リザルト4位で今回の大会の幕は閉じた。

毎度ながら学ぶことは多かった。でも、それ以上に今回は気分が良かったし楽しかった。勝ちはまたまたお預けだけど、いつの日か必ず掴み取ってやる。
今季も残すところ2戦。全力を尽くして、悔いのないレースをしたいと思っている。
ひで