hiden voice

2003/9/18 「New Zealand その2」


日本に戻ってから、暑くなったり寒くなったり・・・。本当に異常気象だね、今年は!最近の俺はと言うと、日課の早朝ゴルフをしながら冬に向けて、バリバリトレーニングしている。NZに行って実際に滑ってみると、自分の足りない部分が見えてくるからね。

さて、今回は残り2日間で起こったミラクルな出来事を話そうと約束した。残り2日を残して撮れていたのは曇りの中でのわずかな映像。クローズ明けの残り2日と言う日の朝、起きると見事に雨が降っていた。「今日もだめか・・・」そんな声が聞こえてきそうな雰囲気の中、我々はわずかな希望を持ち山へと向かう。その日は杉本プロ(BURTON)が運転する助手席に座り「晴れていないかなぁ・・・?」と遠くの空を眺めていた。家からゲレンデまで約一時間弱。そのうちのほとんどがハードな山道を登っていく。マウンテンロードを上がろうとする手前で、遙か遠くの空にかすかな光を見た。「これはもしかしたら!?」なんて期待を持っていた。その瞬間、杉本さんはどこかへ電話をかけた。家にかけたみたいだが会話がなんだかおかしい。電話を切ると「家に帰ろう!」と、そして続けて「今ヘリ会社の人が家に来ていて、今から飛ぶぞ!と言っているそうだ・・・」なんてこった!それは俺にとってみては衝撃的な言葉だった。今回ばかりはノーチャンスとも誰もが思っていたヘリボード。俺の中には不安が消え、今から起こる事への何とも言えない嬉しさで一杯だった。今考えてみると、杉本さんの行動こそがミラクルだ。なぜあのとき電話をしようと思ったのか?そして、あと数分走ればマウンテンロードへ。マウンテンロードに入ってしまえば、携帯が通じない。つまりヘリ会社からも家からも僕たちには連絡することが出来ないと言うことだ。まさに杉本さんの行動こそが、今回のミラクルの始まりだったとも言える。

そして家に戻り、準備をし直してヘリ会社へと向かった。念願のヘリボード、俺の気持ちはワクワク感で一杯だった。こんな気持ちは久しぶりで、小さかった頃どこかに連れて行ってもらった時のことを思い出した。まるで「オヤツはいくらまでだよ!」なんて言われているかのようにね。まさにその通りで、俺は子供のように無邪気になっていたと思う。
ベースタウンから車を乗り換えて、ヘリポートに向かった。その行く道中にも凄い道を通った。ラカイヤ川という川の測道をひたすら走ったのだが、その場所はまるで映画のロード・オブ・ザ・リングの舞台になりそうな感じがするような場所だった。道の脇には羊の群がいくつもあり、壮大な場所の中に穏やかさも感じた。
ひたすら悪い道に揺られる事、約一時間。ようやくヘリポートへと到着した。
そこにはヘリが待ちかまえていて、前のグループが飛び立ちそうな瞬間だった。今まで降っていた雨はプツリとやんでいて、空には雲の合間にたくさんの光がこぼれていた。
俺は初のヘリを体験した。思っていたより簡単に飛び立ち、そして山の絶壁のわずかな頂きに降り立つ。これは、職人技と言うしかない。まぁ、何年もの経験が生む技であろう。
このヘリボードは基本的に5ラン。頂に降ろされてガイドがコースをチェックのあと滑る。一気にヘリが待ちかまえる場所まで行き、またヘリへと乗る。それを繰り返すこと5回。
滑るコースはその時の状況によって変わる。今回は撮影をメインで、と言うことだったのでそんな場所をチョイスしてくれていた。思っていたよりその周辺も天気は悪く、青い空が広がっているのはこの辺だけだ!と言う場所でヘリを飛ばしてくれた。
雪は表面が固まったクラスト状態。気を抜けばノーズが刺さって転倒する。
まぁ、そんな状況だったけど俺には関係なかった。ヘリが飛べたこと、そして滑れること。それがすべて。バフバフのパウダーランはお預けと言うことで・・・。何年かかってでも、いつかはヘリで極上なパウダーランに出会うことはあるでしょ。
また、うれしいサービスがひとつ。辺り一面の雪山の上で食べるランチ。暖かいスープにサーモンバーガー、そしてデザートまでついている。とても旨いランチだった。
日が暮れそうになるまで俺達は滑り、そして撮影し続けた。最後のランを終え、ヘリポートに戻る頃、俺達は満たされそして自然と笑みが生まれていたと思う。
本当に楽しかった、そしてすぐに思い出話で話は盛り上がっていた。
その翌日の最終日。天気が崩れるであろうと予測されたハットは、最高の天候となる。これもミラクルな出来事だ!こうなったらもう何も言うことはない。一日中、ハットのゲレンデを飛ばし、カービングしまくった。
というわけで、これが一回目に行われたビデオの撮影のミラクルな最終2日間。
「たかが晴れただけじゃない!」と思う人も多いとは思う。でも・・・、なんというか、劇的でしょ!?俺はそう思う。いつもいつも最後の最後にご褒美をもらえるのだ。そして、本当にスノーボードは楽しい!と思える瞬間なのだよね。
まぁ、これは俺の勝手な思いとして聞いておいてくださいな。

というわけで、俺の体験したミラクルな話をしました。
これでNZでの生活は終わったわけではありません。残り半分。それも本当に楽しい生活でした。その辺の話は、またと言うことで。
それでは、皆さん。この残暑に負けないようにがんばりましょうね!
シーズンまであと僅かですよぉ・・・。
ひで